糖尿病の数値を下げる基礎知識 | 糖尿病を克服した男の告白

糖尿病とは?

  • 糖尿病とは、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の作用が低下したため、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が多くなり、高血糖が続く病気です。高血糖の状態が続くと、様々な合併症が発症する可能性が高くなり、気づかずに放っておくととても厄介な病気になります。 糖尿病は自覚症状がないまま進行してしまうことが多いといわれ、日ごろから生活習慣に気を付け、早期発見・早期治療が重要になってきます。
  • 異常

血糖とは?

でんぷんなどの糖質(炭水化物)は、体の栄養素として最も大切なもののひとつです。糖質は消化されるとブドウ糖(グルコース)となって、血液中から全身の細胞に取り込まれ主なエネルギー源として利用されます。血液中のブドウ糖を「血糖」といい、「血糖値」とは血液中のブドウ糖の量です。 食事をして炭水化物を取ると血糖値が高くなって、運動などでブドウ糖がエネルギーとして消費されると血糖値が低くなります。 健康な人の場合、血糖値は「インスリン」と、逆の働きを持つ4種のホルモンとにより、一定範囲内にコントロールされます。そのため、血糖値が極端に変動することはありません。 (「インスリン」とは、ブドウ糖を筋肉・肝臓などへ取り込み血糖値を下げる唯一のホルモンのこと)

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症状

発病していても自覚症状がでにくいのが糖尿病の特徴。 血糖値の高い状態が続くと、次のような症状がみられます。 また、治療を受けているのに症状が現れるときは、治療が適しておらず一時的に血糖のコントロールが悪くなっている可能性も考えられます。代表的な初期症状は、
合併症

多尿、頻尿

糖は尿にでるときに水分も一緒に出すため尿の量が多くなり、昼夜を問わずトイレに行く回数が増えます。血糖値が高くなると、腎臓が血液中のブドウ糖を水分と一緒に尿として排泄しようと働きかけるために起こる症状です。

口渇、多飲

糖尿病により多尿になると脱水状態を起こしてのどが渇き、水分をたくさん欲するようになります。多飲の結果、さらにトイレの回数が増えるという悪循環が生じます。のどの渇きよりも口の粘りを感じる人もいます。
水

体重減少

血糖のコントロールが悪いと体重が減ることがあります。インスリンの働きが悪くなり、食事からとった糖質をエネルギーとして利用できなくなってくると脂肪や筋肉のタンパク質を分解してエネルギーとして利用してしまうためです。

疲労・倦怠感

代謝異常が生じている状態だと、細胞に栄養を上手にいきわたらせることができません。体では約60兆個の細胞が生命活動をおこなっており、細胞が栄養不足になって元気がなくなるとエネルギー不足で「疲れ」や「だるさ」を感じやすくなります。いつもと違う異様なだるさ、疲れが抜けない日々が続くといった症状は要注意です。

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予防

糖尿病は、その発症要因から「1型」「2型」に分けられます。
・1型糖尿病
肝臓のβ細胞が壊れることで、インスリンが全く分泌されなくなります。インスリンを補給しないと死に至るため、インスリン注射が欠かせなくなります。
・2型糖尿病
遺伝的に糖尿病になりやすい人が、肥満や運動不足、ストレスなどをきっかけに発病。インスリンの効果が出にくくなったり分泌のコントロールが悪くなったりします。
日本人の糖尿病患者の約95%が「2型糖尿病」といわれており、ストレス・肥満、運動不足、暴飲暴食といったライフスタイルの乱れが主な原因と考えられています。 生活習慣病のひとつとして捉えられているのがこの「2型糖尿病」です。ですから、日常生活に気をつければ、糖尿病になりにくい体を作ることができます。
水

食事で予防

糖尿病を予防するためには、食事を腹八分目にしておくことが大切です。糖尿病は肥満とも密接な関わりがあります。よく噛んでゆっくり食べる、ながら食事はしないように、野菜を中心に食べる工夫をして食べ過ぎることに注意しましょう。食後は一時的に血糖値は上昇し、膵臓(すいぞう)からインスリンが分泌されます。このため、食事の間隔が短かい、時間が不規則、間食が多い、といったことを続けるとインスリンの分泌が乱れて膵臓に負担がかかります。 食物繊維は、小腸で糖の吸収を遅らせ血糖値の急激な上昇を抑えてくれます。野菜や海草、豆類、きのこ類などに豊富に含まれているので積極的に摂ることをお勧めします。栄養バランスを考えた食事を心掛けましょう。

運動で予防

ランニング
予防に限らず、糖尿病の運動療法でも一般的に有酸素運動が効果的だと考えられています。 有酸素運動は、ゆったりとした持続時間の長い運動のことで、酸素をたくさん取り込むことを目的とした全身運動のことです(対して無酸素運動とは、瞬発的で持続時間の短い運動のことです)。 運動により、ブドウ糖や脂肪の利用が促進されて血糖値が低下します。また、運動を続けるとインスリンの働きがよくなって血糖コントロールも改善されます。
有酸素運動には、水泳、ストレッチ、ウォーキング、ヨガ、サイクリングなどがあります。急激に運動をするのではなく長続きできそうなものを選びましょう。 運動するタイミングとしては、一番効果的なのが食後30分~1時間の間です。その理由は食後に血糖値が上昇しているピークの時間帯だからです。運動によりエネルギーのブドウ糖が消費されるので、血糖値の過剰な上昇を防ぎます。運動でブドウ糖が消費されるには15分ほどかかるので、運動は最低でも15分以上やるようにしましょう。

睡眠で予防

糖尿病というと肥満や食生活の乱れ、運動不足、遺伝などのイメージがある人も多いでしょうが、実は「睡眠不足」も糖尿病の一員であるという研究報告もみられます。 睡眠不足は、交感神経を活発にするホルモン分泌を増やして血糖・血圧・心拍数を上昇させます。またこのホルモンはインスリンの効きを弱める「インスリン抵抗性」も高めます。同時に、食欲を増進させるホルモン分泌も増えますので、余分なカロリーを摂取することで肥満につながり糖尿病を誘発する恐れがあります。
睡眠
慢性的な睡眠不足になると、日中の眠気も多くなり無気力状態になるため、動くのが面倒で運動不足に陥りがちになります。 睡眠時間だけでなく眠りの質もとても重要。深い眠りを作るためにも規則正しい生活をしましょう。体内時計のリズムを整えることで睡眠の質も上がります。目覚めとともに朝日を浴びると、体内時計のスイッチが入りリズムを作りやすくなります。寝る前のパソコンやスマートフォンなどの操作はブルーライトによって覚醒状態を起こすので、できるだけ避けましょう。

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原因

インスリンがじゅうぶんに作用しないことが原因でブドウ糖が有効に使われず、血糖値が高くなる状態が糖尿病です。糖尿病には4つタイプがあると言われています。 甘いものを多く摂取すると糖尿病になるイメージがあるかも知れませんが、大きな原因は遺伝子だと言われています。遺伝子の影響と言われると「1型糖尿病」を思い浮かべがちですが遺伝は「2型糖尿病」のほうが多く見受けられます。
睡眠

1型糖尿病

膵臓(すいぞう)の細胞が壊れることが原因で、インスリンを作ることができなくなり糖尿病になります。

2型糖尿病

生活習慣などによりインスリンの分泌が少なくなる、働きが悪くなるなどが原因で糖尿病になります(日本の患者の約90%がこの2型糖尿病だと言われています)。遺伝的にインスリン分泌が弱い人が多いとされている日本人、遺伝的体質に加え、過食や運動不足、肥満、ストレスなどの生活習慣や加齢で発症します。肥満でなくとも内臓脂肪が増える「メタボリックシンドローム」になると発症しやすくなるとされています。

妊娠糖尿病

妊娠中に血糖値が高くなる、または血糖値が高い状態で初めて発見されることを「妊娠糖尿病」と呼びます。妊娠中は胎盤で血糖値を上げやすいホルモンなどが作られるため、妊娠中期以後にインスリンが効きにくい状態になり血糖値が上昇しやすくなります。 肥満や高齢妊娠、家族に2型糖尿病患者がいる、過去に妊娠で高血圧を指摘された場合などに起こりやすいと考えられています。

特定の原因が考えられるもの

遺伝子の異常や他の病気、薬剤の影響などで糖尿病になる場合もあります。

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足の痛み

糖尿病になり血糖値の高い状態が続くと様々な合併症を引き起こします。特に「糖尿病性神経障害」「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」は発症率の高い合併症で三大合併症と呼ばれています。正しい治療で血糖コントロールをすることで、合併症を防いだり起きてしまった合併症の進行を抑えることができます。

【細小血管症】細い血管にみられる合併症。三大合併症。

<糖尿病性神経障害>
三大合併症の中でも早期に発症することが多いです。高血糖の状態で血流が悪くなると末梢神経まで酸素・栄養が届かなくなり、神経の障害が起こるようになります。代表的なものが足先の末梢神経で、足先の痺れやピリピリ感、チクチクした痛みが発症します。一方で、足の感覚が麻痺して、傷があっても気づかずに放置してしまい、足の潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)になることも。足は清潔にして、注意を払うように心がけましょう。
足の痛み
<糖尿病性網膜症>
網膜の血管の障害で、目の霞みや視力低下といった症状が現れ、進行すると失明することも。目には細かい血管が集まっており、高血圧で血液がドロドロになると血流が悪くなる為、細い血管が詰まったりコブができたりします。放っておくと血管が裂け出血し、目が見えにくくなったり小さい虫のような黒い点がみえたりします。
瞳
網膜周辺の血管で血流が悪くなると、酸素や栄養をじゅうぶんに送れなくなるので新生血管という新たな血管を作ります。これは非常にもろい血管ですぐ破れてしまうため、出血を繰り返し従来の網膜を引き剥がしてしまう網膜剥離(もうまくはくり)の原因になってしまいます。これがひどくなると失明の恐れもあります。
<糖尿病性腎症>
腎臓は、血液をろ過して老廃物を排出させたり、体外へ出そうな栄養を再吸収したりする役割を持っています。糖尿病により腎臓の働きが悪くなると「血圧の上昇」「尿にタンパクが出る」「体が浮腫(むく)む」といった症状が表れます。症状が進むと、血中に老廃物が溜まり、腎不全や尿毒症など命の危険に繋がる症状を引き起こします。腎不全になってしまうと、人工透析を受けなければなりません。透析導入の一番の原因は糖尿病性腎症です。

【大血管症】大きな血管の病気(動脈硬化)で起こる合併症。

<脳卒中>
脳卒中で代表的なものは、脳梗塞(のうこうそく)と脳出血です。脳梗塞は脳の血管が詰まり、脳組織が壊死したもの、脳出血は脳の血管が破れ、脳内に出血した状態のことです。糖尿病患者に多くみられるのは脳梗塞のほうで、急に言葉が出なくなる、手足の麻痺、モノが二重に見えるといった症状が起こり、重度の場合は生命の危険もあります。怒りっぽい、頭痛がする、物忘れが多いといった症状は、血管が完全に詰まっていなくても血流が悪いと起こるので、その場合は早急に医師の診断を受けるようにしましょう。
頭痛
<心筋梗塞>
心筋梗塞(しんきんこうそく)は、心臓の動脈(冠状動脈<かんじょうどうみゃく>)が詰まり、血液がスムーズに流れなくなることから始まります。血液が流れないと、血液中にある心臓が動くのに必要な酸素や栄養も流れなくなります。すると、必要な酸素や栄養を受け取れない心臓の筋肉が壊死し、動かなくなります。そうなると胸が苦しくなり倒れます。胸が締め付けられるような痛みを感じるのが心筋梗塞の症状ですが、糖尿病患者の場合はっきりした症状がみられないこともあるので心電図などの検査を定期的に受けましょう。息切れ、脈の途切れ、体の浮腫(むく)みを感じる場合は心筋梗塞の前兆のサインかも知れません。
<末梢動脈性疾患>
末梢動脈性疾患(PAD)は、足の血管に動脈硬化が起こり血流が悪化して血管が狭くなったり、詰まったりしておこる病気です。足の血流が悪くなると足の痺れや痛み、歩きにくくなったり(間欠性跛行<かんけつせいはこう>)といった症状が現われます。悪化すると足に潰瘍ができたり壊死したりすることもあり、重症の場合は足の動脈を手術することになります。心筋梗塞や脳梗塞などを合併することが多いので要注意です。

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食事

すべての糖尿病患者に必要な治療法が食事療法です。糖尿病と診断されたら、これまでのように好きなものを好きなだけ食べることはできません。食習慣を改善して血糖値をコントロールしていきます。食事療法は「カロリー制限」のイメージがあるかも知れませんが、単純に摂取カロリーを制限するというものではなく、必要な栄養素を過不足なく摂取することが原則。食品の栄養素やエネルギー量を知ることはとても大切なことです。バランス食を楽しみながら、正しい食習慣を心がけましょう。
食事
入院施設のある総合病院では「栄養管理士」が、治療にあたる医師とともに患者一人ひとりの生活習慣や環境にあった食事指導を受けることもできます。クリニックや診療所などでも他の病院や外部の管理栄養士との連携で食事指導を行ってくれる場合もあります。

糖尿病の食事/一日の目安カロリー

糖尿病食の目安カロリーは、男性で1600kcal~2000kcal/1日、女性で1400~1800kcal/1日程度です。健康な成人の平均摂取カロリーが1800~2000kcal/1日前後なので、それより少ないということになります。 これらは平均値であり、人によって体系も異なるので個人の目安カロリーは人それぞれです。

自分の目安カロリーを知るには下記の計算が役立ちます。
計算
計算

糖尿病の食事/注意点

・食事は規則正しい時間でとる
食事療法は、食べる量や食品だけでなく、食事を摂る時間も大切です。朝、昼、夕食と規則正しく食べて間食は避けましょう。理想的なのは3度の食事の間隔を6時間とすることですが、難しければ5~7時間の間で調節しても構いません。1日1~2回でまとめて食べると膵臓(すいぞう)に負担がかかります。仕事で規則的な食事ができない場合は、1日の総エネルギー量から間食として摂るといった工夫をします。 夜遅い時間の食事はエネルギーが消費されないのでできるだけ避け、夕食は午後8時までには済ませるようにしましょう。

・食べるときはしっかり咀嚼(そしゃく)
「よく噛んで食べること」は必要以上に食べることを抑えることができ糖尿病への罹患(りかん:病気になること)を防ぐことに繋がります。食事をしてから満腹感が得られるまでには、少し時間がかかるのでゆっくりと食事をすることも大切です。よく噛む=1日最低30回の咀嚼を血糖値を下げるために意識してみましょう。
バランス食事
バランス食事
・食品の種類の多いバランスのよい献立
食材の種類はできるだけ多くとって、栄養素が偏らないようにしましょう。指示された一定のエネルギー量の中で、体に必要な栄養素を満たすには、いろいろな食品をとることが大切です。栄養素には、炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラル、脂質等があり、それらに過不足のないバランスのとれた献立を考えましょう。

・低脂肪で塩分を控えめにした食事
脂質の多い食品をたくさんとることで脂質異常症になり、動脈硬化が進行することがあります。コレステロールや飽和脂肪酸の多い食品はなるべく控えたほうがよいでしょう。コレステロールは脂身の多い肉や、魚の内臓、卵などに多く含まれています。 食塩は血圧を上げる作用があります。塩分のとりすぎは動脈硬化を促進する要因になりますので、減塩して塩味の薄い食事にも慣れましょう。塩分は健康な人でも10g/1日以下、理想的な塩分量は6g/1日です。医師から指示された分量を守るようにしましょう。

・外食はマイルールを決めて選ぶ
外食をすると大抵「カロリーが高い」「塩分や糖分が多い」「ミネラルや野菜が不足」といった状態になりがちです。しかし、現代人の忙しい毎日ではどうしても外食が多くなる場合もあるでしょう。その場合、組み合わせや分量を配慮すれば食事療法を続けることも可能です。普段の量より多ければ残したり、丼物などの単品ではなく品数が多い定食を選ぶなど、外食で基本的に守ることを決めるなどの工夫をしましょう。

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運動

糖尿病治療の基本として運動療法があります。運動療法は、食後の高血糖を抑え血糖コントロールを向上させたり、運動の継続によってインスリンの働きをよくすることを目的としています。特に2型糖尿病の場合、運動療法で脳卒中の発症率や死亡リスクが半減することがわかっています。
ジョギング

運動療法/目安

有酸素運動を中心に無酸素運動をバランスよく組み合わせて行います。有酸素運動は自転車、水泳、散歩などのゆったりした長い運動、無酸素運動は筋トレなどの短時間の瞬発的な運動のことをいいます。運動は「強さ」によって筋肉のエネルギー源が変わります。 「強さ」が増すとブドウ糖の利用率が多くなります。中度の強さの運動は「キツい」と感じない程度で、運動時の脈拍が1分感100~120拍以内が目安です(50歳以上は100拍以内)。 ウォーキング(散歩)では1回15~30分間を1日2回、1日だいたい1万歩を目安にしてみましょう。 運動は毎日が基本ですが、難しい場合は週3回はやっていきましょう。それでも難しい場合は1駅歩く、エレベーターを使わないなど日常生活の中で工夫することをオススメします。

運動療法/運動量

1日の運動エネルギー消費量は、目安として約160~240kcal(散歩=30分、サイクリング=20分、縄跳び=5分/をそれぞれ2~3回)です。 ※運動量が多くても食事は増やさないこと
ロードバイク

運動療法/注意点

運動療法では、軽い運動からスタートして、少しずつ時間を長く、強度も増していきます。運動療法は無理なく続けることが大切です。体調がすぐれないとき、寒暖の差が厳しいときは控えましょう。また、血糖コントロールが不安定な時は血糖値の推移を観察しながら、軽い運動や短時間だけにしておきます。 「血糖コントロールが悪いとき」「合併症が進行しているとき」「その他の合併症があるとき」は運動を行う前に主治医とよく相談しましょう。
薬
空腹時の運動は低血糖になる可能性があるので避けましょう。インスリン、内服薬で治療中の場合、運動中だけではなく運動後しばらくすると低血糖を起こすこともあるので注意しましょう。食後1~3時間での運動がよいとされていますが、特に決まりはありません。

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