なぜ合併症になるの? 糖尿病と合併症の関係とは | 糖尿病とは?症状から予防(食事、運動)について知る

なぜ合併症になるの? 糖尿病と合併症の関係とは

日本では約4人に1人が糖尿病、もしくはその予備群と言われています。糖尿病は生活習慣病としてよく知られていますが、その原因は何なのか、また、なぜ体の至る箇所に合併症が起こるのか、ご存知でしょうか。

全身に至る病「糖尿病」

生き物は誰しも食事をしてエネルギーを体内に取り入れますが、このエネルギーのもとになるのがブドウ糖です。

取り入れられたブドウ糖は血液中に溶け込み、血管を通って全身に供給されます。

血液中のブドウ糖はそのままでは細胞に届きませんが、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモン物質のはたらきによって、血液中から細胞へと移行することができます。

糖尿病とは、このインスリンが欠乏、または分泌されてもはたらきが弱いために、血液中のブドウ糖濃度である「血糖値」が上がりっぱなしになってしまう状態のことをいいます。

高血糖の血液が全身をめぐると、いたるところで動脈硬化が起こるなど細胞が傷つき、合併症を発症します。

これが、糖尿病の合併症が全身に起こる理由です。

このことから、糖尿病は「血管の病気」とも言われています。

眼の合併症

糖尿病になると失明することがある、と聞いたことはありませんか。

これは、「糖尿病網膜症」が進行してしまった最悪の結果です。

網膜は眼が光を感じる部分で、フィルムのような役割を果たしています。

そこにも細かな欠陥が通っていて、血液によって栄養が供給されていますが、高血糖が続くとこの欠陥が傷んでもろくなり、血管が詰まったり出血したりします。

「高血糖により血管が傷む」→「血管が詰まって流れにくくなる」→「流れをよくするためにバイパス血管が突貫工事で作られるが、破れやすいために大きな出血を引き起こす」→「網膜剥離」このような症状を「糖尿病網膜症」と呼び、進行するとレーザー治療や硝子体手術という手術が必要になります。

日本を含めた先進国の後天的な失明の最大の原因は、この「糖尿病網膜症」によるものと言われています。

網膜症

放置すると失明するのが、この糖尿病網膜症です。糖尿病発症から15年ほどで約半数の方が網膜症になっています。高血糖の状態が続くと、血管がもろくなり血流が悪くなることによって出血を起こします。この状態が続くと網膜剥離、失明を余儀なくされます。

単純網膜症

単独網膜症の初期の段階では、自覚症状がありません。血管がもろくなり、血流が悪くなった所にコブができます。このコブが潰れて出血が起こります。(点状出血)この出血が血液中のタンパクや脂肪と一緒になって白斑を作るようになります。この段階では治療が出来ますので早期治療をお薦めします。

前増殖網膜症

単純網膜症を放置していると、沢山の白斑が出来ていきます。毛細血管が塞がってきますが、網膜内に留まっていますのでこの段階でも自覚症状はありません。治療方法は、これらをレイザーで治療します。

増殖網膜症

前増殖網膜症を放置していると、血液が流れす血管が詰まりますので、新生血管という細くてもろい血管が出来てきます。この状態が増殖網膜症と言われます。新生血管は非常にもろく、少しの
血圧の上昇で破裂してしまい、出血は網膜にとどまりません。出血は硝子体内に広がることになります。

この段階になると目が霞んだり、黒いゴミのようなものが目に移ります。新生血管から何度も出血がおこると増殖膜と呼ばれるものが出来ます。これが網膜を引っ張ってしまうので牽引性網膜剥離がおきて物が歪んで見えてしまします。視力も、かなり落ちます。もし網膜剥離が黄斑部に出来ると失明してしまいます。

新生血管が網膜内に留まっている場合に限りレーザー光凝固法で治療が可能ですが硝子体出血、網膜剥離まで進行した場合は増殖膜、硝子対を切除する手術が必要になります。糖尿病網膜症は、ほとんど自覚症状がありませんので定期的に検査をされることをお薦めいたします。初期段階では、簡単できる手術でも悪化していくと非常に困難なものになります。血糖値が高い状態だと手術が出来ない場合もありますので、血糖のコントロールは欠かせません。

腎臓の合併症

腎臓は、体に不必要なものだけを尿に排出するという、高性能なフィルターのような役目を果たしています。

高血糖が続くとフィルターの目が粗くなり、本来排出されてはいけないものが体から出て行ってしまうようになります。

尿中に蛋白が多く含まれている場合、これが疑われます。進行すると、脚にむくみなどが出てきます。

これがさらに進行すると、逆にフィルターの目が詰まり、体から排出されるべき老廃物が体にたまるようになってしまいます。

これが「腎不全」と呼ばれる状態です。

「糖尿病=人工透析」というイメージは強いですが、それはこの腎臓の合併症である「糖尿病性腎症」のためです。

これらに代表される合併症が進行してしまう前に、生活改善をはじめとした適切な治療をし、予防をしていくことが糖尿病治療の要となります。

糖尿病性腎症

糖尿病により血管がもろくなり様々な合併症を引き起こしますが、その一つが糖尿病性腎症です。糖尿病腎症は長い時間かけて進行していきます。この糖尿病性腎症は腎臓が停止し腎不全によって尿毒性にいたり死ぬこともある重大な合併症です。腎臓は背中側にあり、大人で150グラムあるとされている。小さな臓器になります。

腎臓の機能ですが、体内の血液をろ過し、不要な老廃物を除去し、尿として排出します。通常は腎臓に送られた血液は毛細血管が球状で密集している糸球体という部分に一旦流れ血液のろ過尿の製造などの役割をします。高血糖が続く糸球体の機能が段々と年数をかけて悪くなっていきます。そうなることによって老廃物がろ過出来ず体のあちこちで障害を起こすようになります。

心臓の働きに盈虚を与え、心不全になります。脳神経が侵され酷いときには昏睡に陥る場合もあります。ここまで至るまでに、ほとんど自覚症状はありません。定期的に尿検査をしないとなりません。尿にタンパクが出た場合はかなり進行していると思ってください。

これを回復するのは非常に困難です。

第一期腎症障害
この段階の腎症は、尿も陰性、糸球体もろ過機能も正常
自覚症状なし
第二期早期腎症
尿検査で微量だがアルブミン尿が検出される。腎機能は正常
自覚症状なし
第三期顕性腎症
前期
尿検査で持続性たんぱく尿が検出される。腎機能は正常
自覚症状なし
後期
尿検査で持続性たんぱく尿が検出される。
腎機能検査で糸球体ろ過値が低下。血圧が上昇する。
自覚症状 疲れやすい、手足のむくみ
:第四期腎不全
持続性たんぱくが認められる
糸球体ろ過値が著しく低下する
血中に老廃物がたまる
高血圧になる
心不全、肺水腫、脳障害、尿毒症を引き起こす可能ですが出てくる
自覚症状 倦怠感、全身のむくみ、手足のしびれ
:第五期 透析療法の開始

腎症が始まったら、食事療法が大事

腎症を発症すると、タンパク質の制限がかかります。タンパク質をとると病状が悪化します。第一期、第二期では通常の糖尿病食で問題ありませんが、進行状況によっては低タンパク食を余儀なくされます。心不全になると、タンパク質を摂取した際に老廃物が体内にたまり、尿毒症を引き起こす可能性が高まります。発症を抑える薬はなく食事制限しかありません。タンパク質が取れないのは非常に辛いことになります。顕性腎症になると血圧が上昇するために、減塩に努めないとなりません。タンパク質と減塩両方とも制限されるわけです。

神経の合併症

糖尿病によって神経に現れる合併症は、「末梢神経障害」と「自律神経障害」があります。

神経は極細の血管が集まっている箇所なので、詰まりを起こしやすく、障害が起きやすい箇所でもあります。

「末梢神経障害」の症状は、手足のしびれ、傷み、冷え、ほてりなどから始まります。

進行すると感覚がほとんどなくなることもあり、そうなると適切な治療が遅れて、脚の潰瘍や壊疽に結びつくことがあります。

「自律神経障害」の症状は、立ちくらみ、便秘、下痢、残尿感、勃起障害などが挙げられます。

糖尿病神経障害

糖尿病により、末梢神経の伝達に異常が起こり手足の痺れ、立ちくらみ臓器の不具合、体の至る所に異常がおこります。病状が進行すると、体のあちこちが痛くなり、そうかと思ったら逆に神経が麻痺して痛みが感じなくなったり無痛性心筋梗塞、無自覚性低血糖などを引き起こし突然死に至るケースもあります。

人間の神経には、末梢神経、中枢神経、知覚神経、運動神経に分かれていますが糖尿病になると、痛みや、温感を感じる末梢神経がおかしくなることによって知覚、運動、自律神経が調節している体の色んな所がおかしくなっていきます。

自律神経は、自分の意志で動かすことのできない体の働きを調整していますが、自律神経が、高血糖でおかしくなると、以上に汗をかく、便秘、下痢を繰り返す。冷えたり火照ったり、たちくらみなど様々な症状が出てきます。代表的な症状で排尿が上手くいかないことがあります。

これは、尿が溜まってきてトイレに行きたくなる気持ちと排尿の為に尿を出す気持ちが上手く機能しないために起こります。知覚神経と運動神経は糖尿病の早い段階で現れます。主な症状は手足がしびれる、ジンジンする。痛い、こむらがえり、筋肉低下などがあります。これらの症状は上半身でなく下半身、日中より睡眠中に起こりやすい特徴があります。

神経障害が悪化すると非常に危険になります。どうゆうことかと言いますと、酷くなると痛みが感じなくなりますので通常、狭心症を引き起こすと胸が痛くなりますが、この痛みを感じなくなり狭心症になっていることを気が付かずに発作が起こってしまします。

同様に低血糖に気が付かず昏睡に陥ってそのまま死んでしまう可能性もあります。治療の基本は血糖のコントロールですが、初期であれば神経機能を改善し、症状も回復することも可能です。ただ痛みや症状が消えても治ったとは限りません。

ただ単に神経障害を起こして痛みを感じなくなっているだけかもしれませんので処方のお薬をやめたり病院に行かなくなっては危険です。必ず定期的な健診は必要です。神経障害は色々な原因がありますので痛みや、しびれを感じたら
必ず健康診断を受けてください。

まとめ

糖尿病は、インスリンが欠乏、または分泌されてもはたらきが弱いために、血液中のブドウ糖濃度である「血糖値」が上がりっぱなしになってしまう状態のことをいい、高血糖の血液が全身をめぐると、いたるところで動脈硬化が起こるなど細胞が傷つき、合併症を発症する。

□ 糖尿病治療の大きな目的は、合併症を起こさないこと

□ 目の合併症では、失明することがある

□ 腎臓の合併症では、体から排出されるべき老廃物が体にたまるようになり肝不全になる

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